業務内容・リンク集

畜産経営の安定的な発展のためには、家畜の健康を守り、生産性を一層高めることにより経営体質の強化を図る必要があります。

近年、家畜の病気の発生原因は多様化しており、経済損失の大きい慢性疾病が増加している一方で、国際化の進展に伴う海外からの家畜伝染病の侵入の危険性が高まっています。

特に、国内での高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)や豚熱の発生などにより、「食品の安全性」に対する国民の関心は非常に高まっており、生産現場へのHACCP方式の導入や家畜の飼料の品質管理、動物用医薬品の適正な流通や使用が社会的に求められています。

このように家畜衛生の果たすべき役割がますます大きくなっている状況の中、家畜保健衛生所では、「健全な畜産経営は衛生対策から」をスローガンに次の4本の柱のもと、家畜衛生行政及び家畜衛生技術指導の中核機関として、様々な課題に積極的に対処し、地域における畜産振興に寄与しています。

 

健全な畜産経営は衛生対策から

 

監視伝染病の発生予防の徹底と事前防疫体制の構築

 1 家畜伝染病予防法に基づく検査・注射

 家畜の監視伝染病(法定伝染病および届出伝染病)の発生を予防するため、職員が畜産農家に出向いて、検査や予防注射を実施しています。

 また、家畜伝染病が発生したときには、感染した家畜の処分や畜舎消毒、緊急予防注射などのまん延防止対策を講じます。

ヨーネ病検査をするために牛の尾根部から採血しているところです。

 

2 監視・危機管理体制の整備​

 口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ、豚熱など社会的な影響の大きい家畜伝染病に関して、発生時の緊急対応マニュアルを作成するとともに、畜産関係者を参集して防疫演習を開催するなど、発生・まん延防止対策が円滑に実施できるよう備えています。
 国外・県外から家畜伝染病が侵入する危険性がないか、情報収集にも努めています。
令和5年9月29日に開催した鳥インフルエンザ防疫講習会です。

 

3 自衛防疫の推進

畜産農家が自主的に家畜伝染病予防に取り組んでいる自衛防疫組織に対して、情報提供や技術指導などを通じて支援しています。

迅速な病性鑑定と的確な対応

 

1 各種家畜疾病の病性鑑定

 家畜伝染病の診断のほか、生産性阻害疾病原因究明のための検査を実施し、迅速かつ的確な指導を行っています。
 検査としては、病理検査(解剖、組織・免疫組織化学検査等)、細菌検査(菌の分離・同定、薬剤感受性試験等)、ウイルス検査(ウイルス分離・同定、抗体検査等)、生化学検査(血液性状検査による家畜の健康チェック、ビタミンA・E測定等)、牛海綿状脳症(BSE)検査等です。
安全キャビネットで鳥インフルエンザウイルス検査をしているところです。

 

2 診断予防技術の向上

 試験研究機関などへ職員を派遣し、最新技術の習得を行っています。
 また、毎年、牛の炭そ・口蹄疫・豚熱・鳥インフルエンザ等の診断技術研修を開催しています。
 さらに迅速で高度な診断のための施設・機器の整備を行っています。
遺伝子検査室に設置したリアルタイムPCRでは家畜疾病病原体の遺伝子を増幅して迅速に診断する事ができます。

 

3 各種疾病の調査及び試験

生産性の向上と新技術・新生産システムの導入

1 家畜衛生情報の伝達・衛生対策の啓発

 各種家畜衛生講習会の開催により、家畜衛生技術の向上や家畜衛生対策の普及啓発に取り組んでいます。
 また、広報誌、リーフレット等の印刷物や当ホームページにより、最新の家畜衛生情報を提供しています。
令和4年8月31日に開催した「近畿地区鶏病技術研修会」です。

 

2 家畜の生産性向上対策

 呼吸器病や下痢症など生産性の阻害要因となっている慢性疾病の調査によりその発生動向を把握し、浸潤状況や原因究明により、的確な対策や指導を実施しています。
 慢性疾病以外にも、酪農家に対する乳房炎対策や牛群検定成績を利用した飼養管理等、生産性向上のための指導を実施しています。
乳用牛の乳房炎検査をしているところです。

 

安全な畜産物の生産指導

1 生産段階での食中毒細菌汚染防止対策

 採卵鶏のサルモネラ防止対策など、畜産物の食中毒菌汚染を防止するため、検査や対策指導を行っています。
サルモネラ検査のために検査材料を採取しているところです。

 

2 人獣共通感染症予防対策

 家畜から人に感染する人畜共通感染症について、健康確認検査等を実施し、衛生対策指導を行っています。
O157の検査をするために牛の糞便を採取しているところです。

 

3 動物用医薬品及び飼料添加物危機管理対策

 畜産物(鶏卵、鶏肉など)への抗菌性物質残留を防止するための検査・指導や、薬剤に耐性を持つ菌の発現状況調査を行っています。

飼料中の抗菌性物質残留検査をしているところです。

 

4 牛海綿状脳症(BSE)の検査

 96カ月齢以上で死亡したすべての牛を対象に、BSE検査を行い、感染した牛がないか常に監視しています。
死亡牛のBSEエライザ検査をしているところです。

 

5 動物用医薬品の適正な流通と使用指導

 動物用医薬品販売業者に対する許認可事務や立入検査を実施し、動物用医薬品の適正使用や品質管理を図るとともに、畜産物の安全性確保に努めています。
動物用医薬品販売店の立入検査をしているところです。

 

6 獣医事に関する指導・監視

 診療獣医師に対する立入調査や診療施設に係る届出の受理、獣医師法第22条による獣医師の就業状況等の把握を行っています。
診療獣医師への立入調査をしているところです。(写真協力:姫路市 つばきの動物病院)

 

 

LINKS

 県関係

兵庫県

兵庫県の畜産振興施策等

兵庫県立農林水産技術総合センター

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国関係

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国立研究開発法人 農研機構 動物衛生研究部門

感染症疫学センター(国立感染症研究所)

食品安全委員会(内閣府)

 

その他

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